主な取り組み
- ゲストハウスの運営
- 横岡稲倉そばの商品開発
- 空き家を活用した食堂、移動販売の運営
- 伝統芸能「鳥海山日立舞」の体験
- 農用地利活用調査や草刈り維持管理体制の確立
主な構成員
- Ventos
- 横岡稲倉そば生産組合
- 横岡自治会
- 横岡集落協定
- 横岡地域活動組織
- 舟岡自治会
- JA女性部横岡支部(JA秋田しんせい)
- 鳥海山日立舞保存会
- PERSONAL GYM ONE ANOTHER
活用した事業
- 農水省の農村RMOモデル形成支援事業
=年間540万円の交付のうち農用地利活用調査に200万円、地域資源活用に240万円、地域ビジョン作成に50万円。 - 未来へつなぐ元気な農山村創造事業(秋田県単独事業)
- 農山村発新ビジネス創出事業
- 中山間地域等直接支払交付金
- 地域おこし協力隊など
地域おこし協力隊がけん引し、ゲストハウス拠点に多彩なビジネス創出へ。伝統芸能継承事業も
秋田県にかほ市の「麓のカラコ協議会」は、ゲストハウスを拠点に特産のそばを使った食品開発など多彩な事業を創出し、地域と連携した“ふるさとづくり”に挑んでいます。
取り組みを主導するのは、地元にかほ市の地域おこし協 力隊で、観光で地域を元気にする団体のVentos のメン バーとして活動する中山功大さん(27)と笠間怜さん (27)の若者2 人。秋田県の事業で地域資源を活用した地 域づくり策定を行ったことがきっかけに、県から農水省 の農村RMOへの発展を働きかけられて「麓のカラコ協議 会」を立ち上げました。会長には、横岡集落協定代表で 横岡自治会副会長の齋藤一成さん(64)が就き、地域 とのパイプ役を担っています。中山さんは協議会の副会 長、笠間さんは会計に就任しました。ちなみに「カラコ」 とは、鳥海山の雪解け水が滝のように流れ落ちる人気の 秘境です。
活動の拠点となるゲストハウス麓〼(ろくます)は築 100 年の古民家を地域ぐるみで改装したもので、2023年 5月にオープンし、23年末までに約300人が宿泊しました。 宿泊費は一泊5,000円(税込み・素泊まり)、朝食1,000 円、夕食は1,500円(ともに税込み)で、仲間づくりを進めるきっかけとするため、利用しやすい価格設定にしています。
特産ソバなどで商品開発し、収益確保へ
収益化の柱として検討して いるのは特産のソバなどを 使った商品開発です。横岡稲 倉そば生産組合では、水はけ の悪い農地でも安定した高収 量を実現し、日本蕎麦協会会 長賞を受賞したこともありま す。ソバは約160ヘクタールの棚田を保全する切り札と なっています。ソバの実を使ったレトルトの炊き込みご 飯や、生薬の原料などで知られるクスノキ科の樹木クロ モジを原料とする新商品などを開発する方針です。商品 開発ではJA の女性部横岡支部などの協力を得ていく方 向で、食堂の開設なども検討しています。
また、地域に伝わる番楽(山伏神楽)の「鳥海山日立舞」の伝統芸能継承事業も行う計画です。これは、ゲストハウスに1週間程度宿泊してもらいながら稽古に参加し、その成果を舞台で披露してもらうものです。この事業により、都市と農村、老若男女の輪を広げ、ふるさとづくりの絆を深めることが目的です。
キーパーソンインタビュー
麓のカラコ協議会副会長 中山 功大さん
「第二の故郷を見つけませんか」。丁寧な合意形成を目指しています
にかほ市の地域おこし協力隊として参加し、地域の魅力に引かれました。横岡地域などはグリーンツーリズムの受け入れが活発で、東京出身の私たちでも快く受け入れてくれる素地があったのかもしれません。美しい田園風景、来訪者を心優しく受け入れてくれる地元のみなさんの人柄、おいしい食べ物、都会育ちで故郷を探し求めていた自分たちの心に響きました。県や市による支援も農村RMOの設立の原動力となりました。
地域づくりを進める際の最大の課題は意見集約です。会合を開いても、子育て世代を含めた幅広い層を集めてというわけにはなかなかいきません。地域の農地を守り続けることでは意見は一致していますが、将来的な農地の集約には不安の声もあります。全世帯を対象にしたアンケート調査などを交えながら足りない部分を補って丁寧な議論を重ねることが大事だと考えています。齋藤会長たちの力を借りながら、前に進めていきたいと思います。
地域内にある象潟は、松尾芭蕉訪問時は潟湖 ( 外海と切り離されてできた浅い湖)に島が点在 する松島と並ぶ景勝地でした。風景は変わりま したが、遠望できる鳥海山を含めた美しい景色 は健在です。私たちと一緒に「第二の故郷を見 つけませんか」。