高知県梼原町松原地区

「集落活動センター」

活動継続へGSや直売を黒字運営。
財源確保のために小水力発電やイベントにも挑戦

棚田の米のどぶろくでふるさと納税返礼に

 高知県梼原町松原地区の「集落活動センター」は、ガソリンスタンド(GS)や直販所などの生活に欠かせないサービスを黒字運営し、活動継続への地歩を築いています。住民主体で財源の確保へ、小水力発電など新たな事業への挑戦も続ける方針です。

 松原地区の人口はおよそ200人で、65歳以上の高齢者が7割以上を占めます。活動を始めたきっかけとなったのは2012年6月、地区の過疎化が進む中で、集落の代表者ら13 人が協議会を立ち上げたことでした。2013 年 には住民から1株1万円の出資を募って株式会社をつくり、廃業したGSの運営を引き継ぎました。同時に協議会も、活動の中心となり、事務局としての役割をする「集落活動センター」を設立しました。

 地区で生活用品などを扱う店が閉店した2015年には、同センターが直販所「あいの里まつばら」を開店。地元 の農産物や加工品、住民が希望する日用雑貨などをそろえています。多い日には30人が訪れ、年間で約430万円を売り上げます。隣の初瀬地区と連携し、地域有志による配食・移動支援や、両地区で購入した車で区内や町の中心部へ格安で人を運ぶ活動もしています。食事を作り、高齢者に届けるサービスも年に2度行っています。

 同センターの2022 年度の年間収入は、国の中山間 地域等直接支払交付金と県や町の支援に加え、直販所 やGSの売り上げで、3,400万円ほどに上ります。松原 地区の区長・松山栄喜さん(75)は人件費などを引いて も「数百万ほど手元に残しながら運営できています」 といいます。

 新たな事業を始めるには、安定した収入源の確保も重要です。同地区では、2021年から水路を使った小水力発電に着手。四国電力に売電すれば、年間30万~ 40万円の収入が確保できる見込みです。松山さんは「事業を始める際に住民に求める費用負担を減らせる」と期待を込めます。

 2年前からは、地区の棚田の米を使ったどぶろくがふるさと納税返礼品となり、活動資金となりました。 2022 年12 月には直販所でうどんの提供を開始。地域の事業者が出店するイベントを行うなど、財源の確保に向け、さまざまな取り組みを進めます