岡山県真庭市

「吉縁起村協議会」

デジタル化を推進し、完全キャッシュレス無人店舗「スマートストア」を開店

 岡山県真庭市の吉縁起村協議会は、農産品、特産品 の開発・販売による収益確保と住民の生活支援に向け て、デジタル技術を導入した先進的な取り組みを進め ています。NTT 西日本と連携した「スマートストア(無 人ストア)」として、2023 年10月に同市吉地区の売店 「立寄処」に農村未来型無人店舗「スマート♥縁起村」 を開店しました。

 「スマート♥縁起村」は、同県内初となる完全キャッシュレス決済の無人店舗です。人口が減少する中でもデジタル技術を活用して飲料・生活必需品が購入できる場をつくり、生活インフラを維持し地域の活性化につなげることが目的です。

 利用者は事前に専用アプリでクレジットカード情報を登録。店頭にあるQRコードにスマートフォンをかざして読み取り入店、購入したい商品のバーコードを読み取り、キャッシュレスで決済する仕組みです。セキュリティ確保のため監視カメラも設置しています。

広報誌やイベントを通じて、日々の活動を住民に発信

 こうした取り組みの背景には、過疎化に伴う小学校の廃校、郵便局の廃止、自治会活動の停滞に対する危機感がありました。さらに、路線バスの廃止により、買い物や通院にも支障が出ていました。このため地域の有志15人が集まり、「地域おこし隊吉縁起村」を立ち上げたことが「吉縁起村協議会」の活動のきっかけです。「地域おこし活動を通じて住民福祉に貢献する」をコンセプトに掲げて活動し、それが現在の協議会の取り組みへとつながっています。

 協議会の活動の柱の一つとして農産品、特産品の開発・販売があり、地元産米「大吉米」のブランド化や協議会が地域の耕作放棄地で栽培を始めたサツマイモ「翠王」の加工品開発を展開しています。「スマート♥縁起村」の店舗では、「翠王」の茎や葉で作った「翠王茶」なども販売し、住民への生活必需食品の提供とともに、農産加工品の販路拡大を目指しています。無人店舗なので、以前は月2回の営業だった売店が、毎日営業できるようになっています。

 同協議会代表の鈴木昌徳さん(70)は「スマートストアで売店の売り上げ維持と、利便性の向上に努めたい」と話します。協議会では今後、スマートストアを市役所内や同市内数か所にも広めていきたい考えです。