島根県安来市比田地区

「えーひだカンパニー(株)」

住民出資で株式会社を設立。
農作業受託、移動販売車の運行も

 島根県安来市比田地区では住民が出資して「えーひだカンパニー(株)」を設立しました。農業や加工品販売だけでなく、生活用品の購買事業を手掛け、地域に雇用を生み出しています。

 農家や自営業、サラリーマン、主婦と多様な人材が集まる同社は「自分たちの手で住み続けられる地域をつく ろう」と住民が結集、2017年に住民出資の株式会社として動き出しました。メンバーは総務部・生活環境部・地 域魅力部・キッチン部・比田米プロジェクト部の5 つの部署に所属し、自分の仕事の合間に事業に参加する人も多く、地域の活気が移住者を呼び込むことにもつながっています。

 主な事業は①草刈りなどの農作業受託や米、ソバ、小麦の生産と加工品の製造販売、②直売所運営、③移動販売車の運行──で、年間4,000万円以上を売り上げます。

 米やソバ、小麦は耕作放棄地や所有者が高齢で営農継続が難しくなった約6ヘクタールで栽培。自社工房でパンを作り、ラーメンや日本酒などを委託製造し、生産した農産物は直売所「え~ひだ市場」で販売します。地区内には、店舗まで車で30分かかる人もいるため、移動販売車「ひだまり号」でサポートしています。毎週、83の玄関前まで出向き、総菜や生鮮品、日用品を販売しています。

移住者が支える地域の活性化

 同社は移住者の受け入れ活動にも力をいれています。同社始動後、30代を中心に10組程度が移住してきました。移住者は移住関連のイベントで同社を知り、「にぎやかな雰囲気がいい」「自分も働きたい」と移住を決めたといいます。農家として農作業受託に参加したり、同社のイベント運営に携わるなどして、移住者の多彩なスキルが地域の支えにもなっています。同社代表の川上義則さん(59)は「収入の確保や暮らしやすい環境をつくることで、移住者が来てくれます。そしてその移住者が地域を支えてくれます。この良い循環が地域づくりにつながっていると思います」と強調します。