宮崎県西都市

「東米良地区1000年協議会」

1000 年続く循環型山村づくりへ。
NPOや社会福祉法人が連携

 宮崎県西都市の山間部にある「東米良地区1000年協議会」は、自然や集落にデジタル技術を融合させた循環型の新しい山村づくりに取り組んでいます。住民の生活支援や介護予防を行う地域包括ケアシステムの構築や交通手段の確保、農用地保全、鳥獣害対策など幅広い活動を展開しています。

 中山間地域等直接支払の継続をはじめとする集落支援を包括的に行うことを目的に社会福祉法人善仁会に設けた準備室を継続・発展させ、NPO法人東米良創生会を設立。同会が事務局を担う形で2022年4月に協議会が発足しました。東米良地域づくり協議会、西都市猟友会、銀上集落協定、農業生産法人株式会社かぐらの里、西都市などが1000年続く村の構築を目指し参画しています。

ボランティアの運転手による送迎事業が好評

 地域の課題の一つが交通手段の確保です。主要道路を1日2回往復するコミュニティバス以外は自家用車で移動せざるを得ず、高齢者の利用は困難でした。そこで希望者宅から地域内目的地までの利用者の要望に応じたオンデマンドでの送迎事業を実施。2022年度の利用実績は延べ2,300人を超えました。

 運営にあたっては、70歳以下のボランティアによる運転手32人を確保。運休日を設けず計3台の車両で稼働しています。利用者は前日の15時まで予約でき、1回50円から100円程度の安価な価格で利用できる仕組みとしました。専用予約システムの構築や車両の購入、安価な利用者負担を実現するために県や市が取り組む事業の補助金を活用しました。

 活動の拠点となるのは、旧銀上小学校の廃校舎です。学校閉鎖後も、指定避難所として機能していましたが、電気や水道が利用できず、雨漏りがあり、利用に適さない環境でした。しかし、校舎のある地域は世帯数が多く、介護保険サービスの拠点としての活用も見込めることから善仁会が市から譲渡を受け、自己資金で改修を重ねました。

 今後の目標としては、アプリ開発による農家や企業、猟師などの間での労働力の調整や、タブレット端末やカメラ、マイクなどを活用した遠隔無人直売所の開設、輸送用コンテナを活用した捕獲鳥獣処理加工施設の活用などに取り組む方針です。